堀越事件2審無罪判決
2010年 03月 30日
この種の事件については、1審で無罪判決が出ても、2審(控訴審)で有罪とされるのがこれまでの例でしたが、今回はその逆であり、しかもこのような行為にまで罰則を適用するのは「違憲」であると明確に判示した点に、画期的な意義があります。
私自身も、この事件の裁判には個人的に関係があり、1審の段階で、弁護団に依頼されて、「意見書」と「補充意見書」を裁判所に提出したほか、実際に東京地裁の法廷に出て、学者「証人」として意見を陳述する機会がありました(2006年1月20日)。この事件では、私を含めて7人の学者証言があり、15件の「意見書」が提出されましたが、すべてが処罰に批判的な趣旨のもので、賛成する「意見書」は一つもなかったのに、1審は有罪判決を下したのです。
私自身は、その後これらの意見書の趣旨を論文として公表するとともに、1審の有罪判決に対する批判も展開していましたので、今回の2審判決がこれらの批判の趣旨を受けとめて、用意周到で説得的な論理で無罪判決を下した勇気ある対応に満腔の賛意と敬意を表したいと思います。マスコミも「時代に沿う当然の判断」だとしています(2010年3月30日朝日)。
ただ、検察官は上告するでしょうから、今後は最高裁判所の対応が注目されることになります。最高裁判所も、最近は「司法消極主義」を次第に脱却しつつあると評価されていますので、「表現の自由」をめぐる問題においても、「違憲審査の活性化」を期待したいものです。なお、堀越事件に関する私のブログの日付を記しておきます(2006年1月21日、同7月30日)。

