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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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米軍志願兵の増加

 3月21日のテレビ「報道ステーション」の中に、アメリカ軍の志願兵の数が最近増加しつつあり、その原因として、経済不況下のアメリカで若年の貧困者や失業者が経済的理由から軍隊を志願する例が多いという指摘に注目しました。新兵に対する猛烈な身体的・精神的な訓練の極限状況や、家族との涙の別れの場面などがなまなましく映像化され、踏み込んだ取材の趣旨も明確で、心を動かされました。
 自衛隊志願という状況は日本でも同様で、構造的な経済的不況の下では、自衛隊は今や最も安定した職業の一つになりつつあるといえそうです。しかも、米兵と違って、戦争のために戦地に派遣されるというおそれがないという点にも決定的な違いがあります。「憲法」があるおかげで、日本の自衛隊は、国際的にも「災害救助隊」としての性格と役割に限界づけられる可能性を残しているのです。
   それに反して、イラクやアフガンに派遣される米兵は、現代的な大量殺戮戦争の現場に追いやられるという悲劇的運命にあるにもかかわらず、これを救う手段がないことを思うと、暗然たる気持になります。イラクやアフガンの市民を救うためにも、アメリカは直ちに戦争の泥沼から脱却して、和平への道を探るという選択肢を選ぶべきで、それがオバマ大統領の決断に期待されたのですが、現状ではまだ「増派」を決定するという悪循環に陥っています。
   現在の世界は、今や世界最強の米軍をもってしても、軍事的な解決の見通しがないという現実にあることを人類に教えているといってよいでしょう。核戦争にまで及ぶ軍事的手段では地球が破壊されてしまうことが明らかな状況下では、軍縮と非軍事的方法による紛争解決への方向転換しか残された生きる道はないことを自覚して行動を起こさなければなりません。日本がかかえている米軍基地の問題も、「日本国憲法」の精神によってアメリカを説得するという姿勢を持たなければ、根本的な打開策は得られないように思われるのです。
by nakayama_kenichi | 2010-03-24 09:49