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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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千葉法務大臣に問う

 千葉景子氏は、民主党政権下での初の女性法務大臣であり、弁護士でもある点で、その力量が大いに期待されたところでした。しかし、最初の仕事が「公訴時効」の問題について、殺人罪等の時効を廃止するという法制審議会案を了承して立法化を進めるというのでは、何とも理解し難い危惧を感じないわけにはいきません。この問題では、「死刑を含む重大事案について検察官の請求により裁判所が時効の中断を認める」というのが民主党案であり、これが無視されても平気というのでは、「政治主導」の名が泣くというべきでしょう。
 法制審議会案は、もとは法務省の官僚が作ったもので、これをほとんどそのまま通してしまう「法制審議会」も、かつての自民党政権下のものと全く変わっていないのが現状です。千葉法務大臣としては、何よりもこのような官僚主導の立案体制(官僚が支配する審議会)にこそメスを入れることが期待されているはずです。
 なお、最近の法律雑誌(法学セミナー2010年4月号)には、「千葉景子法務大臣に聞く」というインタビュー記事が掲載されていますが、ここでも法相の発言にいくつかの疑問を感じました。
 1.法務行政においても国際的潮流は十分意識されているといいながら、日本が国際機関から受けているさまざまな指摘について(代用監獄における取調べなど)、具体的な改善提案は何一つ示さず、今後の努力が問われているところでしょうというのみ。
 2.「取調べの可視化」は、韓国で凄いスピードで実現しているとしつつ、だからといって負けてなるものかと日本が躍起になるのは望ましくないという「慎重」な姿勢。
 3.法科大学院制度について、由々しき事態だといいながらも、法務省内で文科省と研究して行く段階というのみで、改革の方向性すら示そうとしないこと。
 なお、阿部教授の質問項目には、時効問題も入っていませんでした。
by nakayama_kenichi | 2010-03-17 20:30