朝日の岩村意見
2010年 02月 22日
1.時効廃止に反対する理由 時効は、冤罪が起きないようにするため刑事手続を時間的に区切る制度で、それがなくなると冤罪の証拠もなくなって行く。
2.被害者・遺族の思い 遺族の思いは薄れないという感情論や、DNA鑑定の進歩という技術論だけで、この問題を議論していいのか疑問がある。
3.改正の手続 2004年の改正で時効期間を延長したばかりで、まだ効果も検証されていないのに、なぜ今急いで時効廃止まで決めてしまうのか。
4.時効廃止の効果 時効の廃止で犯人が捕まる可能性が高まらないことは現場の警察自身も認めており、かえって膨大な事件記録の保存は不可能に近い。
5.対案の提出 日弁連は、DNAが残されているなど有力な証拠があれば、検察官が時効の中断を求める公告ができるとする対案を提出したが、多数の賛成は得られなかった。
6.その理由 法制審自身が、法務省の意向が通りやすい仕組みになっていて、15人の委員のうち「官職者」(法務、警察、裁判所)の6名はほぼ法務省の原案に賛成する。
7.性急な審議 昨年11月から3ヶ月足らず、実質審議は6回という異常な速さで、重大で議論の分かれる問題について要綱骨子案が多数決で採決されてしまった。
8.問題の由来 これは自民党政権時代に提起され、民主党政権に引き継がれたものなので、「官僚主導脱却」を標榜する民主党がそのまま性急に通してよいものか。
なお、取材側からも、反対論にも十分な根拠がある以上、今からでも、国民的な議論をつくす必要があるとのコメントが付されています。