辰巳法律研究所
2010年 01月 07日
「なぜ、こんなに分りきったことが、きちんと議論されないままスタートし、予想通りの事態になっても公的な場で再検討されることがないのか、素朴に疑問に思います」といわれる点には、私見も全く同感です。誰も責任をとろうとせず、現状を前提とした上での部分的な手直し(たとえば、ロースクールの定員の小幅な縮小)にとどまって、上に指摘されているような「公的な場での再検討」は行われる兆しもなく、その要望も顕在化しないというのは、まことに不可解な現状であるというほかありません。本来の理念とは裏腹に、ロースクールを持つ大学の教員も学生も、まさに「呻吟(しんぎん)」状態におかれていると聞いています。
「政権交代」を機会に、このロースクールによる法曹養成問題についても、抜本的な見直しが要請されているように思われるのですが、責任回避の裏に、既得権の擁護と利害の打算があるとすれば、そこにもメスを入れる必要があるでしょう。具体的な提案として、私自身はかつて、個々の大学から独立したブロック別のロースクールの提案をしたことがあります。
なお、辰巳法律研究所と聞けば、かつて現役の若い頃は、日曜答案練習会や集中講義などの名目で、しばしば依頼されて上京し、司法試験受験者の諸君に刑法の講義をしたことを懐かしく思い出します。あの頃も、司法試験は難関でしたので、大学での講義とは違った工夫をしなければならないという緊張感があったように思います。

(虎の絵は、亡妻がかつて年賀状のハガキに描いたものです)

