4月1日
2005年 04月 01日
4月といえば、学校の新学年、新学期のことが何よりも頭に浮かびます。
私は、小学校、旧制中学校、高等商船学校、旧制高校、旧制大學、旧制大学院という順序で、学年を経るごとに、4月の新入生の喜びと進級の希望を毎年繰り返しながら、長い学生生活を経験しました。
その中でも、一番嬉しかったのは、夢に憧れた旧制高校の「白線帽」をかぶって登校したときのことです。それは、昭和24年のことですが、残念ながら4月ではなく、9月入学になったのです。その理由は、折角の合格通知にもかかわらず、占領軍の指示で入学一時停止の措置がとられたためで、不安な気持ちのままに入学時期が遅れてしまいました。それは旧日本軍関係者の審査ということでしたが、今でもその折の事情ははっきり分かりません。
私は、昭和24年の4月から9月まで、郷里で母と農作業に汗を流しましたが、ようやく9月からの入学通知が来て、旧制静岡高校の校門をくぐることができました。まだテレビもなく、食糧難が続いていましたが、戦後の解放的な雰囲気の中で、自由を満喫することができました。当時は、文部省自身が新憲法の普及運動に熱心であり(今では考えられません)、私たちも、県下の中学校や女学校を回って、憲法の普及運動に取り組んだのです。
私は、学生生活を終わってからも、大學に残ることになりましたので、今度は教員として毎年4月に新入生を迎えるという新鮮な気分をずっと長く経験することになりました。4月の大學の雰囲気はいつまでも忘れ難いものとして残っています。そして、定年で大學を去ってからも、その思いは依然として続いているのです。
新入生おめでとう。しっかり勉強して下さい。