2009年の大晦日
2009年 12月 31日
今年の1年を回顧しますと、何といっても衆議院選挙によって「政権交代」が現実のものとなった点が特筆されるべきことでしょう。なお流動的な部分を残してはいますが、それが長年の自民党政権のもとでの積年の悪弊に少しでも深くメスを入れてほしいことを期待したいものです。この政権交代が今後、各分野に影響を及ぼしていくことでしょうが、その限界を含めて、なお慎重な対応が必要なことはいうまでもありません。
来年も決して明るい見通しがあるとは思われませんが、世界的な規模では、何よりもアメリカが戦争を早くやめることを求め、そして日本的な規模では、自らの戦争責任の償いを忘れず、日本国憲法の平和と民主主義の精神に立ち返ることが真剣に求められていると思います。
刑事司法の分野でも、厳罰主義による権威的な治安維持思想の限界を反省し、自由と人権の保障こそが司法権の信頼を得る道であることを示すために、過去の「冤罪事件」を生み出した原因を冷静に分析し、最高裁判所こそが「人権の砦」といわれる方向での「司法改革」の見直しが期待されているというべきでしょう。裁判員法の帰趨にも予断を許さないものがあり、とくに死刑事件において、その真価が問われるものと思われます。
私自身の研究活動も「ブログ」も年を越すことになりますが、何か意味のある仕事を残したいという念願とともに、年を考えて健康にも留意することを自覚しつつ、2009年の終わりとします。