『今』を生きる
2009年 12月 25日
先生は、まず奥様の病気と介護の様子を話されましたが、その一部始終が全部記帳されているといわれ、その現物を示されたのには、みんな驚嘆しました。入院患者に対する病院の対応についての辛辣なコメントも笑顔で話されました。
そして、本論では、「今」を生きるとは、今ある自分を直視することであって、すでに過ぎ去った過去を美化したり、これからの未来に望みを託することでは決定的に不十分であるとした上で、人間には自己中心的で好き勝手に振舞う「欲望」が存在し、それがはびこると、「正法」から「末法」へと転落して、人々は自己を忘れ、「心」を忘れ「道」を忘れることになるというのが、佛法の教えであるといわれました。
そして、黒板に、過去の円と未来の円とが交錯する図を描かれ、その両者が重なる瞬間こそが「現在」であって、それが「永遠の今」であり、今を生かす「道」をしっかり歩めといわれるのです。ただし、その歩み方についても、意識的にあせったりしてはだめで、とらわれない流れるような自然体を継続するためには、とくに「余白」の美と「間(ま)」のとり方が重要であり、それは富士山に雲のかかった絵のようなもので、東洋文化に通じるものがあると説かれました。
なお、当日は、外部からも若狭地方から4名の傍聴者があったほか、12月24日は、雲井先生の94歳目の誕生日に当たりましたので、参会者からささやかな誕生祝いのケーキが贈呈され、大きな感謝の拍手のうちに講演会は無事に終わりました。
