来年の研究予定
2009年 12月 23日
今年の「学界回顧」(法律時報臨時増刊)を見ますと、専門分野での研究者の業績が年々増大する傾向があり、とても個別にフォローしてはいけないという感想をもつようになりました。問題領域が拡大し、内容的にも細かい分析が進んでいることは歓迎すべきことですが、反面、全体像とその方向性が見え難くなってきていることは否めません。「政権交代」に対する学会の対応も問われることになるでしょう。
ところで、私自身も、まだ余力が残っているうちに、これまでの研究業績を踏まえて、来年の予定と抱負を考えておかなければなりません。幸いにして、出版社の成文堂の信頼と受け入れ態勢が与えられていますので、相談の上、2冊の本の出版を計画することにしました。1つは、既発表の「佐伯博士の刑法思想と『日本法理』」に、現在執筆中の「小野博士の『日本法理』の再検討」を加えて、1冊の論文集にまとめるという構想です。これは、何とか実現可能かと思います。
もう1つは、私のかつての刑法の教科書のうち、フォローしないままになっています『概説刑法 1』(初版1989年、補訂版1995年、第2版1999年)をこの際全面的に改訂し、今なお期待されている読者の声に答えたいという念願に一歩踏み出すことです。しかし、これは現在の私にとっては困難な仕事で、どこまで進むか自信がありませんが、心意気だけは失わないつもりです。
そのほかには、学会や研究会になるべく出席して、最近の情報に接し、問題によっては論文を書き、または少なくとも「ブログ」で取り上げるなど、もうしばらくは前向きの姿勢を維持できるよう努力したいと考えています。