民主党のマニフェスト(法務関係)(3)
2009年 10月 06日
この問題は、いわゆる「共謀罪法案」の成否をめぐって長年争われてきたものですが、政権交代によって、民主党のマニフェストが実現される最初の例となる可能性のある問題として注目すべきものです。以下は、マニフェストの内容です。
「共謀罪を導入することなく国連組織犯罪防止条約の批准手続きを進めます。(自民党)政府は、国連組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備として、共謀罪を新設する法案を繰り返し国会に提出してきましたが、民主党は、共謀罪に反対する国民の広範な世論と連携して法案の成立を阻んできました。共謀罪は、団体の活動として犯罪の遂行を共謀した者を処罰するものですが、犯罪の実行の着手、準備行為がなくても相談しただけで犯罪となること、およそ国際性とは無縁な犯罪や重大犯罪とまではいえないようなものを含め619もの犯罪が対象となることなど、わが国の刑法体系を根底から覆しかねないものです。条約は「自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めているにすぎず、また、条約が定める重大犯罪のほとんどについて、わが国では現行法ですでに予備罪、準備罪、幇助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられています。したがって、共謀罪を導入しなくても国際組織犯罪条約を批准することは可能です」。
いわゆる「共謀罪法案」は、2004年に提案され、2005年の衆院解散で廃案となり、最終的に2009年7月の衆院解散で再び廃案になるまで、自民党政府によって繰り返し執拗に成立が追求され、何度か強行採決のおそれがあるなど、危機的な状況が続いていたのですが、政権交代によって、ようやく一応の落着がついたようです。私自身も、この問題について関心があり、ブログでも取り上げたほか、独立の論文も書いています(雑誌「世界」2005年12月号)。

