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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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民主党のマニフェスト(法務関係)(2)

 2.取り調べの可視化、証拠開示徹底による冤罪防止
 これは、現在の犯罪捜査における被疑者・被告人の取調べ方法に対する民主党のかつてからの改革案を提示したもので、すでに参議院には法案まで提出していたという経緯があります。以下は、マニフェストの内容です。
 「警察、検察等での被疑者取り調べの全過程についてビデオ録画等による可視化を図り、公正で透明性の高い刑事司法への改革を行います。最近、富山氷見事件や志布志事件、足利事件などの冤罪事件が相次いで明らかになりましたが、最大の問題は密室での取り調べです。取り調べでの自白の強要による冤罪を防止するため、①裁判で自白の任意性について争いになった際に検証できるよう、取り調べの全過程を録音・録画することを捜査当局に義務づける、②刑事裁判での証拠開示の徹底を図るため、検察官手持ちの証拠の一覧表の作成・開示を義務付ける――等を内容とする刑事訴訟法改正を実現します」。
 この点は、すでに国際水準となっており、国際人権機関などから繰り返し勧告や要請がなされてきたにもかかわらず、日本の捜査機関(警察・検察)が断固として拒否し続けてきた「日本的捜査の暗部」に初めて政権党がメスを入れることになるという意味で、実に画期的な意義を有するものであることを強調しておかなければなりません。
 しかし、すでに警察・検察・法務当局は、この事態を予測して、さまざまな「抵抗」を試みることが予測され、改革がスムーズに進むと楽観することはできません。たとえば、被疑者との1対1という信頼関係から生まれた「自白」によって事案の真相の解明が可能になるという「信仰」から脱却することを捜査機関側に期待することは決して容易ではないからです。今こそ政治的な決断が要請されているのです。
by nakayama_kenichi | 2009-10-04 10:25