陪審制の長所(1)
2009年 09月 25日
本書の中には、陪審制の長所として、かつて大正3年(1914年)に、大審院(最高裁)判事だった大場茂馬博士が書かれたといわれる以下の12項目が引用されています。
① 官憲を笠にきた司法権濫用の弊害を避け、濫用に対する不信用を避けること。
② 民衆と法律との隔離を避け、市民が裁判所を信頼するようになること。
③ 刑の言い渡しは公正かつ必要な理由を周知させる。
④ 立憲制度の趣旨を貫徹し、妥当な裁判を期待させる。
⑤ 一般民衆を支配する法律的常識を利用し、民衆の満足する裁判を期待させる。
⑥ 裁判手続を丁重にし、判決の信用を増大させる。
⑦ 直接審理主義及び自由採証主義を貫徹する。
⑧ 判事の経験を主とすることから生じる誤判を救済する。
⑨ 常識に遠ざかり迂闊な事実を避け、事実の真相に合致する裁判を期待させる。
⑩ 有罪の予断を避け、公平な裁判を期待させる。
⑪ 厳刑酷罰の濫用を避ける。
⑫ 被告人が甘受せざるをえない裁判を期待させる。
以上の中では、とくに①、⑤、⑦、⑧、⑩、⑪などの指摘が重要だと思われます。