裁判員法の見直し
2009年 09月 05日
しかし、8月30日の衆院選挙で民主党政権が誕生しましたので、その影響はこの裁判員制度の見直しにも及ぶことが確実に予測されるようになってきました。そこで想起されるのが、裁判員法施行直前の4月段階で、民主党が法務大臣に申し入れていた「裁判員制度の実施に向けた環境整備に関する意見書」です。その内容については、当時、このブログでも紹介したことがありますが、にわかにその現実性がクローズアップしてきましたので、改めてその骨子の重要な部分を再確認しておきたいと思います(一部省略)。
● 早急に法改正が必要と考える項目
1.取調べの全過程の録音・録画と検察官の手持ち全証拠のリストの開示義務づけ。
● 運用の状況を見たうえで法改正を含めた見直しが必要と考える項目
1.裁判員の秘密漏示や出頭拒否への制裁の弾力的適用
2.保釈による防御権の保障(「人質司法」からの脱却)
3.新たな争点や証拠の提出制限の見直し
4.その他部分判決の見直しなど被告人の防御権と公正な裁判の保障
5.裁判員が参加しやすい環境作り(裁判所内への託児所の設置など)
以上がその骨子ですが、重要な改正点を含んでいるだけでなく、民主党と連立可能性のある社民党の保坂議員を中心とした「超党派議員連盟」の動きにも大きな弾みがつくことが期待される状況にあります。そしてこの問題では、法務省とともに、最高裁判所の官僚的体質の打破が現実的な課題となることが予測されるのです。