8月15日の真実
2009年 08月 15日
最近の朝日新聞は、「検証 昭和報道」と題して、戦争から敗戦に至る昭和の時代の新聞報道の裏面史を明らかにしようとしていますが、その中でも、1945年8月15日のいわゆる「玉音放送」を聞いた後の宮城広場の模様に関する記事と「写真」を、「8.15朝刊の謎」として描き出しているのが注目されるところです。
原爆投下から連合国に対する降伏文書の受諾に至る経過についての新聞報道の内容が、軍の強大な圧力の下に、いかにゆがめられて行ったかという事実の検証にも注目すべき重要な問題が含まれていますが、敗戦の日に宮城前広場に集まった人々が宮城に向かって土下座している写真についてまで、「真実」のものは配信されなかった可能性があるというのです。
実際には、人々は一斉に土下座したわけではなく、かなり雑然としていたが、戦時下の新聞が報じたのは「現実の光景」ではなく「あるべき光景」であり、それは敗戦に際して「民草」がとるべき態度を示したものだったことが明らかにされています(朝日新聞09年8月14日夕刊)。
戦後になって、「マスコミ」が権力から解放され「報道の自由」を獲得したといわれていますが、本当にそうなのかという検証も必要なように思われます。