国旗・国歌法10年
2009年 08月 09日
問題なのは、この国旗・国歌法が国会で審議されていた際には、国歌の斉唱などを強制しない旨の政府側の答弁が繰り返されていたという事実です。その後の本法の執行状況は、明らかにこの答弁に真っ向から反するものであり、一種の詐欺的行為とさえ言える法の悪質な運用であるといわざるを得ません。
その上、この前にも書きましたが、国歌の中に歌われている「天皇」ご自身が、園遊会の際に、東京都の教育委員長に対して、強制することのないよう附言されたという報道がなされていることも、当然に考慮されるべき点でしょう。
上の新聞記事は、東京の公立小学校の音楽の1教諭が、すでに減給処分を4回も受け、次に予想される停職処分を避けるために休みを取るなどの苦労に耐えている実情を例に挙げた後、以下のように締めくくっています。「公立小・中・高での斉唱率はほぼ100%に達する。また、校長の職務命令などが思想・良心の自由を侵すと見るかどうかは、裁判所によっても判断の分かれる問題ではある。だが命令に痛みを感じる者がわずかでもいる限り、その心に思いを巡らすことが民主主義には決定的に大切であるはずだ」。
とくに、戦前の国旗・国歌がそのまま戦後も通用している状況の中では、私などの戦中派は本能的な拒絶反応を抱かざるを得ないことを告白しておきたいと思います。