裁判所の冷たい態度
2009年 07月 18日
検察官の論告と第1審判決の内容が比較的簡単なものであったのに比べて、弁護側からの控訴趣意書は、分量も厚く、内容的にも詳細なものでした。私自身も、法律解釈上の論点について「鑑定意見書」を提出したほか、控訴趣意書も分担執筆しました。
当日は、午前11時から、控訴審の第1回公判が開かれたのですが、冒頭に、裁判長が被告人の名前と住所と職業を聞く人定尋問が行われた後、弁護側から4人が立って、控訴趣意書の中心的な論点を簡略に口頭で主張しました。
ここまではスムーズに進んだのですが、控訴審における審理の内容に関して、弁護側から、新たな弾劾証拠(論告を支えた「目撃証言」と矛盾する同乗者の供述証拠)の採用、および被害原付きが道路縁石に衝突した事故状況に関する新たな「鑑定」の実施等が提案されたにもかかわらず、裁判長は、すべて必要なしとし、弁護人側からの異議もすべて即時に却下してしまいました。そして、次回は8月7日に判決の言い渡しをすると宣言したのです。
無罪とすべき合理的な疑いが残る否認事件で、控訴審がこのような形式的で事務的な対応を当然の如く行ったことに、はじめての経験である私自身は、率直に驚きと怒りを感じました。すべての提案を、検事の意見の通りに、問答無用として切り捨てるのが、あたかも当然であるかのような裁判所の対応には、言い知れぬ「権威主義」と「冷たさ」が見られます。この日は、暗澹たる気持ちで、裁判所を後にしました。