自分の本を読む
2009年 06月 28日
第1は、最初に国会に上程された法案(1994年4月)が、移植に使用されるための臓器を「死体(脳死体を含む)」から摘出することを認め、その際、本人の意思が不明なときは遺族の書面による承諾で足りるとしていたという点です。それは、今回衆議院を通過した改正案と基本的には同趣旨のものであったのです。
第2は、しかしそれが国会審議の途中で提案者の側から突如「修正案」(第1次)が出され、「脳死体」からの提供には本人の提供意思が必要であるという要件に変り、それが衆議院を通過した(3分の2の多数)という点です。
第3は、しかし参議院では、さらに「修正案」(第2次)が出されたのですが、そこでは「脳死体」という表現を「脳死した者の身体」というソフトな表現に変え、脳死移植の場面でのみ脳死状態を「死体」とみなし、移植目的に限定する趣旨をはっきりさせた点です。
今回の法案は、「脳死した者の身体」という表現を残しつつも、しかし本人の意思表示がなくても遺族の同意で足りるとする最初の案にもどったわけですが、それが参議院の審議でどこまで「修正」されることになるのか、注目しつつ見守っていかなければなりません。