捜査官と被疑者との「信頼関係」?
2009年 06月 22日
栃木県警本部長が、謝罪の談話だけでなく、直接に菅家さんに会って謝罪したと報じられましたが、長年ご苦労をかけたことを謝罪しただけで、警察が「虚偽の自白」をさせたことについて、具体的に謝罪したわけではありません。むしろ、当時の現場の捜査官たちには取材に応じないようガードが固められ、反省の声は聞えず、処分の動きもないというのが現状です。
もしも、DNAの再鑑定がなければ、旧鑑定を押し付けられてした「自白」が虚偽であったことは判らないままにすんでいたという仕組みこそが、いまこそ真剣に反省されるべきで、それが「取調べの可視化(録音・録画)」または「弁護人の立会い」という問題です。
ところが、捜査当局はいまだに従来の姿勢を崩していません。問題は、その理由です。取調べの過程を全部可視化することになれば、捜査官と被疑者との「信頼関係」が崩れ、真実の発見が困難になるというのです。そこには、犯人に本当のことをいわせるには「密室で追及する」に限るという本音が覗いています。そこから、孤立した被疑者が捜査当局を信頼して「自白」すれば有利にしてもらえるという誘惑が生じ、それが「虚偽の自白」を生み出す構造になっているのです。
しかも、このような「密室での取調べ」は国連の人権委員会から繰り返し批判され、抜本的な改善を勧告されているということも、もっとマスコミは報道するべきで、その改革こそが捜査機関に対する国民の「信頼」を回復する道だと思います。