国家の謝罪の仕方
2009年 06月 13日
6月10には、最高検の次長検事が記者会見をして、「真犯人とは思われない人を起訴し、服役させたことについて、大変申し訳ない」として、検察として初めて公式の謝罪の意を表明しましたが、検察幹部がこうした形で謝罪するのは極めて異例のことです(朝日新聞6月11日)。
次いで、6月11日には、栃木県警の本部長が、上記とほとんど同文の内容の謝罪のコメントを公表し、さらに警察庁長官も同様な趣旨の遺憾の意を表明し、今後このようなことがないようにしたいと述べました。そして、栃木県警としては、刑事部長をトップとした当時の捜査の問題点を検討するチームを設置して、その結果を公表すると表明しました(東京新聞6月12日)。しかし、裁判所側からは、最高裁を含めて、いまだに何らの動きも報じられていませんので、今後に注目する必要があります。
冤罪に対する国の責任は、「再審」や「国家賠償裁判」でも明らかになりますが、問題は形式的な謝罪ではなく、「真犯人」でない者を、なぜ「真犯人」として起訴し、有罪とし、服役までさせたのかという原因の究明にあり、それが当の警察・検察内部の調査から明らかになるとは到底思えません。冤罪の被害者を入れた第3者委員会を設置して、まずは「虚偽自白」を生む捜査構造の抜本的な改革に着手することが必須の課題だと思います。また、裁判所に対しては「人権の砦」としての責任から、かつての「横浜事件」をはじめとする「司法が背負う過ちの歴史」を真剣に反省してほしいものです。


