「安らぎ」とは
2009年 05月 27日
今回のテーマは『「安らぎ」とは』というもので、これまでのお話の延長戦上にある仏教哲学に関する専門的な理論をやさしく解説されたものです。ご講演の要旨は、おおむね以下のような趣旨のものと理解しました。
「安らぎ」とは人間が求めてやまないものであるが、実際には、悩み、苦しみ、憂いなどに支配されて、なかなかその境地に達しないのが常である。健康で、生活が安定し、富や名誉や地位が得られても、山あり谷ありで長続きしないのが現実である。「安」の字は、うかんむり(家)の中に女がいるという字形で、安心して任せるという意味である。
宗教(Religion)というのは、再び結ばれるという意味で、西洋では神と人間を結ぶものであるが、東洋では自然と人間を結ぶものである。仏教は創造神を認めず、むしろ目に見える現実を正しく見る知恵とこれを生かす実践を重んじるのである。
「涅槃」(ねはん)とは、生命の火が消えて行く安らぎではなく、生きている時に煩悩の火を吹き消すことによって得られる安らぎであって、それが「菩薩行」というものである。
今回も、多くのことを教えられました。