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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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兄との惜別

 5月18日の午後、郷里から、兄が危篤の報が入り、急いで郷里の余呉町まで駆けつけましたが、兄はすでに死去した後でした(享年86歳)。
 それ以後、親類縁者をはじめ、近隣の人々が集まって、伝統的な弔いの行事が3-4日にわたって続きました。今は、葬儀屋にも依頼しますが、基本的には村の慣習にしたがった村落共同体の相互扶助の行事のひとつとして、いまだに維持されています。兄の家は田舎の旧家に属しますが、今回は故人の意向も汲んで、自宅葬ではなく、近くの菩提寺の本堂と境内を借りて、通夜と告別式がかなり盛大にとりおこなわれました。
  私と兄とは、5歳違いですが、父が敗戦後間もない時期に若くて亡くなりましたので、母を助け、2人の小さな弟をかかえて、苦労した思い出があります。当時、兄は早稲田大学の専門部、私は旧制静岡高校に在学中でしたが、学業を放棄する寸前まで至った苦しい時期でした。兄の長男としての責任と弱音をはかない体力と気力が常に牽引力だったことを述懐しています。親代わりとして、立派に弟たちを育て上げたのです。
 兄は、銀行マンとして働き、また定年後は自治体の役員や寺院の総代などをして地域社会に貢献しましたが、私としては、むしろ子どもの頃、一時在住していた大阪の長屋のレンガ敷きの道路で、当時はハイカラな野球のキャッチボールをした思い出のほうが鮮明に残っています。兄は体格もよく、中学野球の選手となり、晩年はゴルフと酒(これらは私とは無縁)に浸っていました。お棺の中には、ワインをみんなで少しづつ顔や口に浸して、最後のお別れをしました。
by nakayama_kenichi | 2009-05-21 10:27