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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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検察審査会と裁判員制度

 「検察審査会」とは、検察官による起訴・不起訴の判断に民意を反映させるための制度で、とくに検察官による不起訴処分に対して、不服のある被害者や告発者が起訴するよう訴えることができるものです。アメリカの「大陪審」に示唆を受けたものといわれていますので、「陪審制度」と関係があるのです。つまり、裁判員が裁判への国民参加なら、この審査員は裁判に先立つ起訴段階への国民参加だということになります。
 検察審査会は、衆議院の有権者名簿の中から、くじで選任された11名の審査員から構成されます。ここで重要なことは、審査会が、11名の素人だけから構成され、法律専門家は1人も入っていないという点です。よく素人だけで判断できるのかなといわれるのですが、これまでの検察審査会の実績は高く評価され定着したものとなっています。私自身も助言者の形で参加した経験がありますが、審査員の皆さんの熱心な議論に感心しました。そして、これまでは結論に拘束力がなかったのですが、最近の法改正で、「起訴すべきだ」という結論が2回出れば、検察官は必ず起訴しなければならなくなりました。
 一方、裁判員制度は、6名の素人裁判員のほかに3名の職業裁判官が入りますので、裁判官主導となりやすく、公判準備手続で枠決めされてしまいますと、裁判員の参加が「形骸化」(飾り物化)するおそれがあります。素人が主人公の「陪審制」のモデルに近づける必要性があるというべきでしょう。そしてそのためには、捜査手続の可視化のほか公判準備手続の公開も必要になってくると思われます。
by nakayama_kenichi | 2009-04-25 17:58