パイロット・スキーム
2009年 04月 12日
「模擬裁判員裁判はあくまでも模擬であるので、試験的実施とは異なる。英米では、新しい制度を実施する場合には、いわゆるパイロット・スキームを行い、その結果を見て本格的実施に踏み切るかどうかを判断する。経験主義の国らしいやりかたである。日本では、このような試験的実施という方策はとられず、いっせいに新制度に切り替えるということが多い」。
日本の裁判員制度には、3年後の見直しが予定されていますが、それは正式な実施を前提としたもので、パイロット・スキームとは違い、メリットとデメリットの客観的な判断を保障するものとはいえず、現状追認的な方向に流れる限界があります。
村井教授の提案の背景には、韓国における暫定的な立法形式がありますが、具体的には5年間位の試行期間を置き、試行的に実施する場合には、被告人の選択権を認めることも可能であり、市民の参加意欲についての改善も可能だろうとされています。
私も、裁判員法の施行延期ができないならば、このようなパイロット・スキームの方式も十分考慮に値するものと考えます。
なお、村井教授は、このパイロット・スキームが、法科大学院の設置についても考慮すべきであったし、死刑の一定期間の停止にも応用できるといわれている点にも注目すべきでしょう。