石井徹哉さんの質問について
2005年 03月 15日
責任能力に関する従来の判断からすれば、これまで責任能力ありとして刑事手続に乗せられていた者が本法の対象に含まれるのではないか、そうすると医療の必要性という枠組みは崩れるのではないかというご趣旨だろうと思います。
たしかに、刑事手続か医療処分かという区別に際して、限界部分を本法の方に取り込むということになればその可能性が出でくるでしょうが、国会審議でも、精神病質者は対象にしないという答弁があり、また実際にも、1年半という比較的短期間で回転するという構想が出されていますので、それを信用するとすれば、医療の必要性を基準とした治療効果を目標とした運用が目指されているように思えるのです。
もっとも、現実はきびしく、社会復帰を唱えても受け皿の不足から退院が困難になるおそれは十分にあり、理想通りには行かないと思われます。
ただ、制度の出発点としては、日精協が望んでいたような、処遇困難者の長期入院施設というイメージとは異なり、その点では日精協の期待には沿わないものになりそうです。
むしろ、医療の必要性を徹底して、入院よりも通院に重点をおいた観察法として純化する方向も考えらえれるわけで、身柄拘束と強制の要素を最小限にし、人権の保障と権利侵害からの救済を充実させる方向を展望すべきではないかと思われるのです。日弁連はその方向を目指しているようですので、注目して下さい。

