臓器移植法の改正問題
2009年 04月 09日
ところが、2004年になって、自民党の臓器移植調査会が改正案として、「本人が書面で拒否しない限り、年齢を問わず家族の同意だけで臓器の提供ができ、さらに親族への優先適用を認める」という趣旨の改正案(河野案)を提案してから、臓器提供要件の改正をめぐる論議が再燃し、法改正に向けた具体的な動きが現実化するようになりました。その頃の状況については、このブログでも取り上げたことがあります(2005年4月8日)。
その後、この問題は沈静化していましたが、最近また再燃し、2009年4月に衆議院の小委員会で取り上げられ、立法論議が本格化するのではないかという見方が出てきています(朝日新聞4月8日)。この時期に改正案が再燃した背景には、WHOが海外での渡航移植を規制するという動きがあり、心臓移植が国内(58人)よりも海外(78人)の方が多いという現状への危機感があるようです。
しかし、この問題には歴史的な論議の蓄積があり、理論的にも実務的にも深刻な問題が含まれていることを再確認する必要があります。私としては、肝心の「ドナーカード」の普及運動が忘れられていることを指摘しておきたいと思います。