4月1日の入学式
2009年 04月 01日
私が経験しましたのは、昭和10年以降の戦前の入学式でしたから、国旗の掲揚式があり、君が代の国家を斉唱することが当然の儀式になっていました。校長は、式辞で忠君愛国を内容とする「教育勅語」について語り、戦争が始まった後は、大東亜戦争の意義を強調し、大日本帝国軍人に対する「軍人勅諭」にも触れ、その武運長久を祈願するという軍国主義的な思想教育の精神が次第に強調されるようになっていったのです。
教科書ももちろん「国定教科書」で、検閲も公然と認められ、異端は「思想や内心に至るまで」排撃されていたのです。「お国のための」教育が徹底して行われ、ほとんどが「真実」を知らされないままに、従順にしたがっていたのです。
しかし、昭和20年の敗戦によって、「日本国憲法」が制定され、自由と民主主義が復活し、教育の世界にも大きな変革がもたらされました。私は旧制高校と大學でその「改革」の恩恵に浴し、戦前の「タブー」は破られました。少なくとも一律の「強制」は無くなったはずです。
ところが、最近の入学式には、再び国旗が掲揚され、国歌の斉唱も見事に復活したばかりか、国旗に対して起立しない教員が懲戒処分を受けています。それは「思想や内心の自由」を認めなかった戦前の異端排除の復活ではないかという疑問があります。