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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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死刑の容認と廃止

 一方では、「死刑廃止は世界のすう勢」といわれながら、他方では、日本では一連の凶悪犯罪に対する死刑判決が次々に言い渡され、死刑の執行も増え続けています。このままでは日本は「死刑大国」となり、出口が見えないことになります。
 3月19日の朝日新聞は、社説を含む大きな記事で、名古屋の「闇サイト殺人」事件の死刑判決をとりあげて、死刑制度がある以上、多くの人が納得するであろうと書いていますが、しかし、その翌日の3月20日の記事では、アメリカ西部のニューメキシコ州で死刑を廃止する法案が上下両院で採択され、2007年に死刑を廃止したニュージャージー州に次いで廃止州が増え、これでアメリカでは死刑廃止州が15州に増えたことを「短い記事」で紹介しています。
 また、国連の国際人権(自由権)規約委員会は、日本の人権状況に関する「総括所見」(2008.10.30)の中で、「代用監獄」の廃止などの問題ととともに、死刑の問題にも触れて、「締約国は、世論調査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討し、必要に応じて、国民に対し死刑の廃止が望ましいことを知らせるべきである」と述べていますが、この点もマスコミではあまり取り上げられていないのが現状です。
 最大の問題は、被害者の感情ですが、この点についても、アメリカには、死刑維持よりも未解決犯罪の捜査の促進を優先するという「被害者団体」の運動も生まれているようです(毎日新聞3月23日)。日本でも、裁判員制度の導入を契機に、発想の転換と再考が必要な時期に来ているように思われます。
by nakayama_kenichi | 2009-03-27 20:34