死刑の容認と廃止
2009年 03月 27日
3月19日の朝日新聞は、社説を含む大きな記事で、名古屋の「闇サイト殺人」事件の死刑判決をとりあげて、死刑制度がある以上、多くの人が納得するであろうと書いていますが、しかし、その翌日の3月20日の記事では、アメリカ西部のニューメキシコ州で死刑を廃止する法案が上下両院で採択され、2007年に死刑を廃止したニュージャージー州に次いで廃止州が増え、これでアメリカでは死刑廃止州が15州に増えたことを「短い記事」で紹介しています。
また、国連の国際人権(自由権)規約委員会は、日本の人権状況に関する「総括所見」(2008.10.30)の中で、「代用監獄」の廃止などの問題ととともに、死刑の問題にも触れて、「締約国は、世論調査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討し、必要に応じて、国民に対し死刑の廃止が望ましいことを知らせるべきである」と述べていますが、この点もマスコミではあまり取り上げられていないのが現状です。
最大の問題は、被害者の感情ですが、この点についても、アメリカには、死刑維持よりも未解決犯罪の捜査の促進を優先するという「被害者団体」の運動も生まれているようです(毎日新聞3月23日)。日本でも、裁判員制度の導入を契機に、発想の転換と再考が必要な時期に来ているように思われます。

