「生」を見つめ「死」と向き合う
2009年 03月 25日
先生は、とくに仏教の観点から「生と死」との関係を説かれたのですが、まず最初から、「死」を忌み嫌って避けたがる日本人の風潮を批判し、「死と向き合う」ことの必要性を指摘されました。しかし同時に、それが来世や霊魂を思い描くのではなく、何よりも「生」を見つめることと実は合体したものであることを説かれたのです。
人の「生」があるから「死」があるという「因果的な」理解ではなくて、「生」と「死」が表裏一体の相互関係にあるという「因縁的」な理解が必要であるとされ、その例として、桜の花が散り、椿の花が落ちるのと違って、紅葉の枯葉がひらひらと落ちるとき、葉の表と裏が「生」と「死」の関係を表しているといわれるのです。
雲井先生は、結論として、心のなかで「死」を受け入れるとともに、残された「生」を精一杯に生きることの大切さを訴えられましたが、それがお釈迦様の80歳の大往生の際の遺言だったといわれたのです。聴衆はみな、大きな感銘を受けました。

