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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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「生」を見つめ「死」と向き合う

 このマンションに入居されています雲井昭善先生の第3回目の講演会が、3月25日の午後2時から開かれ、1回目、2回目同様、多くの来聴者がありました。今回は、『「生」を見つめ、「死」と向き合う』という題名で、約一時間のお話をみんな真剣な面持ちで拝聴しました。ここは高齢者用マンションなので、年配の老人が多く、その上、講師の雲井先生ご自身が94歳のご高齢でもありますので、「生」と「死」の問題は、最初からインパクトをもつものでした。
 先生は、とくに仏教の観点から「生と死」との関係を説かれたのですが、まず最初から、「死」を忌み嫌って避けたがる日本人の風潮を批判し、「死と向き合う」ことの必要性を指摘されました。しかし同時に、それが来世や霊魂を思い描くのではなく、何よりも「生」を見つめることと実は合体したものであることを説かれたのです。
 人の「生」があるから「死」があるという「因果的な」理解ではなくて、「生」と「死」が表裏一体の相互関係にあるという「因縁的」な理解が必要であるとされ、その例として、桜の花が散り、椿の花が落ちるのと違って、紅葉の枯葉がひらひらと落ちるとき、葉の表と裏が「生」と「死」の関係を表しているといわれるのです。
 雲井先生は、結論として、心のなかで「死」を受け入れるとともに、残された「生」を精一杯に生きることの大切さを訴えられましたが、それがお釈迦様の80歳の大往生の際の遺言だったといわれたのです。聴衆はみな、大きな感銘を受けました。
by nakayama_kenichi | 2009-03-25 21:15