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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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横浜事件に無罪判決を

 「横浜事件」とは、1942年から1945年までの間に、戦争に批判的なリベラルな研究者やジャーナリスト60余名を、悪名高い「特高警察」が「治安維持法」で検挙し、激しい拷問を加え、4名が獄死したという思想弾圧事件をいいますが、その裁判が半世紀を経た今もまだ解決していないことに思いを致す必要があります。
 敗戦の直後で、治安維持法がまだ廃止されていない短い期間内に、当時の横浜地裁が急いで下した有罪判決に対して、治安維持法の廃止後に、犠牲者が「再審」の訴えを提起したのですが、ようやく認められた「再審」でも、確定判決があることを理由に「免訴」という形式判決にとどまりました。しかし、犠牲者とその遺族はこれに満足せず、あくまでも「無罪」判決を求めて、「再審」はなお続行中です。
 それは、治安維持法のもとでもかつての有罪判決が「誤判」であったことを明確にすることが、犠牲者の真の願いであり、それが特高警察による治安維持法の適用を認めた裁判所に対する歴史的な審判にもつながるという確信に支えられているからです。当時の特高警察は、すでに当時の関係書類を全部焼却して証拠を隠滅していますので、第4次「再審」を開始した今の横浜地裁が「無罪」判決を言い渡すには困難があることは事実ですが、国家権力が行った非道な悪事を裁き直すという勇気をもった「英断」を今の横浜地裁に期待したいものです。その趣旨で、私も横浜地裁の大島裁判長に「英断期待」のはがきを送る運動に協力しました。
by nakayama_kenichi | 2009-03-23 20:19