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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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なぜ無実の人が自白するのか

 3月14日の朝日新聞に、日本の裁判員制度に関する「自白」の判断に関して、アメリカのノースウェスターン大学のスティーブン・ドリズィン教授のコメントが掲載されています。私も、教授の共著(『なぜ無実の人が自白するのか』伊藤和子訳、日本評論社、2008年)を読んだばかりなので、共感するところが多く、その要旨を引用しておきます。
 「米国では、罪を自白した人が後にDNA鑑定や真犯人の登場などで無実と判明した例が71年ー02年に125件あります。81%が殺人で、起訴されて有罪となった事件では43%が死刑か終身刑でした。・・・疑われた人は「この場から一刻も早く逃れたい」という気持ちにかられ、「捜査官のシナリオを受け入れることが唯一の道」と考えるようになります。疲れ果て「覚えていないが、自分がやったのだ」と思い込む例があります。・・・そして実際には、虚偽自白と判明した事件の裁判の8割で陪審が全員一致で有罪判決を下しています。だからこそ、自白に至るまでの全過程を録画し、陪審に見せることが大切です。自白の部分だけを録画したのでは「結果」を示すだけで「自白が信用できるものかどうか」の判断材料にはなりません」。
 ところが、日本では、自白部分だけの録画にとどまり、検察は「全過程の録画」に絶対に反対しています。しかも密室での長時間の取調べも変らないとしますと、隠れた「誤判」が出るおそれは、アメリカよりも大きいといわざるをえません。全面録画を初めて法制化したイリノイ州知事の英断に学ぶべきでしょう。さらに、イリノイ州知事は、誤判の原因が解明されるまでは死刑執行を停止することまで決断したといわれています。
 
by nakayama_kenichi | 2009-03-14 12:39