『世界』4月号
2009年 03月 08日
1.「疑わしきは被告人の利益に」とは、「常識に照らして犯人だと思われればよい」という程度の説明では不十分で、「証拠に照らしてまず間違いない」といえる場合でなければならない。
2.最大の問題は、被疑者に対する密室での取調べ状況をそのままにしていることで、一部ではなく、取調べの「全面的な可視化」と、証拠の「全面的な開示」が必要である。
3.公判前整理手続で予定した以外の審理が事実上できなくなるのは問題であるほか、少年事件では保護処分の選択を含む判断に裁判員制度はなじまないのではないか。
4.裁判員裁判では無罪判決が出る可能性が多いが、検察官が控訴して原判決が破棄されたのでは、制度の意味がなくなってしまう。
5.弁護人の負担が重くなり、弁護活動をしたくない人が増えると、検察官側の圧勝に終わることになり、改革の意味がなくなるおそれがある。
拙稿とともに、元裁判官の木谷論文が広く読まれることを期待します。

