韓国の国民参与法(2)
2009年 02月 07日
まず、2008年に実際に参与法裁判が行われたのは60件にとどまり、それは事前の予想(100ないし200件)をも下回り、とくに首都のソウル近辺が少ないとのことです。参与法の対象事件が約2000件といわれていますので、その比率はわずか3%ということになります。その理由は、被告人側が参与法裁判をなかなか選択しないほか、いったん選択しても、途中で撤回し、あるいは裁判所が排除決定をして従来の裁判をするケースが多いからだといわれおり、その中には、プライバシーを含む性犯罪や大型の否認事件などが含まれているとのことです。
一方、参与法裁判は迅速に行われ、1ないし2日のうち、むしろ1日で終わるものが多く、陪審員が熱心に参加して、評議が深夜に及ぶこともあるという指摘も興味を惹くところです。それは、それ以上に負担の大きい事件は参与裁判から排除されているからだと思われます。
次に、60件の参与裁判のうち、無罪ないし縮小認定されたものが27件もあり、その後の裁判所による修正はあるものの、無罪率が高いことは事実のようです。ただし、60件のうち52件が控訴されているという事実も注目に値するところですが、控訴審の状況の検討は今後の課題とされています。今後の成り行きのフォローが期待されるところです。
なお、本稿にも触れてありますが、韓国では、取調べの過程が全面的に録音・録画され、弁護人の立会いまで認められていることが、わが国との最大の相違点であって、わが国は国際水準に達するために、まずはこの状態をこそ「改革」すべきであると感じました。