人生と出会い
2009年 01月 29日
94歳とはとても思えぬしっかりとした姿勢とお声で、約一時間、ゆっくりとした口調で語られましたが、聴衆は約60名に達し、椅子が足りないほどの盛会でした。私が司会役を勤めましたが、われわれ高齢者用マンションの入居者にとっても、人生の大先輩であり、かつ日本でも数少ない印度の仏教哲学と古い梵語(サンスクリット)の専門家のお話を直接に聞けるのは、またとない機会でした。
先生は、京都の大谷大学を卒業して、僧籍に入ろうとしたとき、研究室にとどまるよう指導教授に勧められたのが、印度哲学と梵語の研究へと進む最初の「出会い」であり、それから京大や東大などの研究者との他流試合を勧められて実力を磨き、さらにウイーンに2年間の留学を勧められ、その途中に立ち寄った印度で独特の言葉と文化に触れる機会を得たという数々の「出会い」のおかげで、今日の自分があるという話をされました。
そして、最後に、古稀のときに、モットーとしてきた3つのC(Comunication Confidence,
Curiosity)をあげられ、そのひとつひとつの重要性を指摘されました。また質問に答えて、黒板に絵のような梵語のいくつかをすらすらと書かれました。「娑婆」は梵語に由来し、耐えるという意味であるとの説明もありました。大きな拍手とともに、次回の予定もお願いして、無事に終わりました。