司法制度改革審議会
2008年 11月 25日
まず、委員の人選の問題ですが、13人の内訳は、大學教員が5人、作家が1人、経済界から2人、労働界から1人、主婦連から1人、元裁判官が1人、元検察官が1人、弁護士が1人というものでした。この審議会委員は国会同意人事でしたので、野党から1部の委員に反対が出ましたが、与党の多数で決まるという波乱もあったのです。
市民が参加する裁判制度の導入自体に反対したのは、作家の曽野綾子さん1人で、あとの委員は市民参加を肯定した上で、その形態として、「陪審制度」(市民が独立して有罪・無罪を決める)をとるか、「参審制度」(市民と裁判官がいっしょに審理し量刑も決める)をとるかで議論が分かれたのです。
弁護士会が陪審制度を、そして最高裁が参審制度をとることははっきりしていましたが、結局は、陪審制度を支持した委員は少数にとどまり、多くの委員は陪審制度に消極的で、むしろ参審制度が望ましいという意見分布になりました。しかし、ここでは、労働界からの委員のほか、主婦連からの委員による陪審制導入論の方がはるかに詳細で説得的であり、さらに裁判官任用制度の改革にまで言及していたのが注目されます。
ただし、この公開された議事録でさえ、肝心の討論の部分は「匿名」となっており、全面的な公開とはいえないことを指摘しておきます。

