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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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裁判員は行司なのか

 日弁連の宮崎誠会長は、京大法学部42年の卒業生で、最近の京大学生新聞(614号、2008年10月20日)から取材を受け、今回の裁判員制度は刑事裁判に市民感覚を生かすものなので、これを円滑に定着させていくことが重要だとされています。この記事を読んで気になったのは、次の2点です。
○ 第1は、今回の改革のきっかけになったのは、これまでの司法界が多くの欠点を抱えており、その欠陥がだんだん増幅されてきたことにあるとし、冤罪事件や強引な取調べに対する批判が今回の裁判員制度の最大の要因であるとされている点です。警察や検察庁、そして最高裁も裁判員制度の導入を嫌がりましたが、決め手はいつまでも欠点が是正されないことにあり、今回の改革が弁護士の運動の積み重ねの結果だといわれるのです。しかし、実際には、司法制度改革審議会の意見書には、司法の民主化や冤罪防止の目的はほとんど触れられず、冤罪を生み出す捜査の改革はほとんど手づかずのままです。この改革が弁護士会のイ二にシャチブで動いたとはとても思われず、むしろ内部から批判が出ているのが現状なのです。
○ 第2は、検察官と弁護人がお相撲をとりますから、検察官の立証で疑いなく有罪かどうか、そこをみて行司に徹してほしいといわれている点です。しかし、「行司」役であれば、検察官と弁護人の言い分のどちらに軍配を上げるのかが裁判員の役目だと理解されることになるでしょう。これは、きわめて危ない表現で、むしろ検察官の側の立証に「合理的な疑い」が残らない、つまり常識に照らして間違いがないと言い切れる場合のみ有罪とする趣旨であることを指摘してほしかったと思います。
by nakayama_kenichi | 2008-11-12 21:10