最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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 川口さんから質問がありましたので、簡単に私見を述べておきます。
 私は、この法律が提案され、草案が作られ、国会で審議されて成立するまでの間、ずっとフォローしてきたつもりです。その間に書いたものを、今度一冊にまとめることになりましたが、その題名も「心神喪失者医療観察法の性格」となっています。また、国会で草案が審議された経過も、議事録を全部フォローして判例時報に連載したことがあります。
 結論的にいえば、最初の政府案の段階では、処分を言い渡す要件が「再び同様の行為を行うおそれ」(再犯のおそれ)と明示されていましたので、かつての改正刑法草案の「保安処分」との連続性を否定できないものとなっていましたが、審議の途中で、突如として、塩崎議員らによる「修正案」が提案され、そこでは「再犯のおそれ」という要件が削除され、「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」という要件に変更されました。
 この新しい要件が「再犯のおそれ」とどういう関係にあるかについては、多くの論議がなされ、いまでも続いており、精神科医の間でも「リスクマネジメント」をめぐる論争が続いていますが、はっきりしていることは、国会で修正案が通過した際に、政府提案者側が「再犯のおそれ」は要件から削除したことを一致して述べていたという事実であります。
 したがって、「再犯のおそれ」から「医療の必要性」への転換、保安法から医療による社会復帰法への転換がなされたと解されなければならないと、私は基本的に考えています。
 リスクマネジメントをめぐる論争問題についても、書いたものが間もなく公表されるはずになっていますので、出たらお知らせします。
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# by nakayama_kenichi | 2005-03-08 21:29

 公務員の政治活動の制限については、国家公務員の場合には、国家公務員法102条1項とその委任を受けた人事院規則14-7で、20項目に近い禁止規定があり、その違反に対しては、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されますが、地方公務員の場合には、地方公務員法36条で数項目の禁止規定があるだけで、規則への委任もなく、懲戒処分に付されるだけで、刑罰は一切科されないことになっています。
 なぜ、公務員の政治的行為に対して、国家公務員と地方公務員との間に、このような著しい相違が生じたのでしょうか。それは、国家公務員法も、制定当初(昭22)には、規則への委任も罰則の規定もなかったのですが、翌年の昭和23年の改正で変更になったためであり、しかもそれは、当時の占領部軍総司令部の圧力の下に異常な状態で改正されたという歴史的な経緯があるのです。
 昭和25年の地方公務員法では、元に復したわけですから、国家公務員法も当然改正されるべきものが、そのまま現在まで、半世紀もの間、残されたままになっています。
 しかし、地方公務員が懲戒処分でとどまるものを、国家公務員だから刑罰を科すという合理的な理由があるとは思われません。国家公務員は、犯罪人として訴追されるのです。
 その上に、教育公務員特例法によって、小、中、高の教員は、身分は地方公務員であるにもかかわらず、国家公務員なみに人事院規則14-7の規定が適用され、刑罰が科されるという2重の差別が導入されていることにも注意しなければなりません。
 差別のおおもとを見極めてこれを正す知恵と力量をいまの国会に期待できるでしょうか。
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# by nakayama_kenichi | 2005-03-06 23:07

白地刑法について


 「白地刑法」とは、犯罪の構成要件が空白で、その内容が政令などに委任されているものをいい、刑法94条の「中立命令違反」罪がその例としてあげられるのが通常です。
 それは、「罪刑法定主義」の原則の例外とされていますが、この規定は現在はほとんど適用の可能性がない状況です。しかし、現在、白地刑法として生きているものに、国家公務員法102条1項の「公務員の政治活動の制限」規定と、それを受けた人事院規則14-7が、17項目にも及ぶ禁止規定を設け、それに3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されいる例があります。
 この規定は、かつて猿払事件(北海道の郵便局員が選挙ポスターを掲示したケース)で争われ、1・2審が無罪としたものを最高裁が破棄して有罪となった事例に適用されましたが、その後長く適用されませんでした。ところが、最近、東京で社会保険庁の職員が勤務外の休日に選挙ビラを住宅の郵便受けに配った行為が起訴され、現在1審が進行中です(堀越事件)。
 私は、今、弁護側から依頼されて「意見書」を執筆中ですが、その中で気のついたことを、何回かに分けて本欄に書いて見たいと思いますので、よろしく。
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# by nakayama_kenichi | 2005-03-03 19:24

 新版の口述刑法総論(2003年)と口述刑法各論(2004年)を相次いで出版しましたが、刑法の改正などがありましたので、早速に必要な補正を加え、また「自習問題の解答のポイント」も作成して小冊子にし、本の付録としてつけることにしました。
 口述総論の「補訂版」は、3月中旬には成文堂から出版できるとのことです。その際、自習問題の解答のポイントもつけますが、すでに初版を購入ずみの方にも、差し上げますので、本屋をのぞいて下さい。
 口述各論の補訂版は、もう少し時間がかかりますので、ご辛抱下さい。
 
 なお、論文集の方も、「心神喪失者等医療観察法の性格」と題する本を間もなく成文堂から出版する予定です。論文集は、これで10巻になります。

 私も年をとりましたが(1927年生まれ)、もうしばらくは研究と出版活動を続けるつもりですので、よろしく。
 
                                
 
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# by nakayama_kenichi | 2005-02-28 21:31

ブログ開設の挨拶


 川口浩一氏に教えてもらって、私もブログを開設することにしました。
 
 この欄を通じて、私の友人や本の読者、かつて私の講義を聴いて下さった皆さんなどと情報の交流ができれば幸いです。それ以外の方でも、結構です。
 私は、すでに年配で、パソコンには弱いのですが、今では、メールの送受信のほか、パソコンで原稿も書けるようになっています。
 もうしばらく、研究生活を続けるつもりですので、どうかよろしくお願いします。
  
                              中山 研一
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# by nakayama_kenichi | 2005-02-28 13:21