最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

<   2009年 09月 ( 12 )   > この月の画像一覧

伊藤若冲の世界

 先日、甲南大学の園田教授から、滋賀県の甲賀地方の緑つつまれた山の中に、「ミホ美術館」(MIHO MUSEUM)というめずらしい施設があり、一見の価値があるので、一緒に見に行きませんかと誘われました。私はこの分野には全く不案内なのですが、とくに「伊藤若冲」という古い18世紀の江戸時代のユニークな画家の作品が集められていると聞いて、思い切って見学に出かけました(大津から車で40分くらい)。
 案内によりますと、伊藤若冲は正徳6年(1716年)京都の青物問屋に生まれ、40歳で次弟に家督を譲って画業に専念し、寛政12年(1800年)に85歳で永眠するまでの40数年間、とくに亡くなる前の年まで一心不乱に絵を描き続けたとのことです。
 伊藤若冲といえば、とくに「鳥」の名画が多いことで知られているのですが、動物のみならず植物についても多くの作品があり、それぞれが独特の図柄と色や濃淡によって、さまざまな世界を見事に作り出して行く手法に、誰もが圧倒され引き込まれてしまう魅力を直感的に感じるのです。そこには、大事なところは一点もゆるがせにしないという周到さが見られますが、それぞれの作品につぎ込まれた時間と労力を考えますと、何よりも80歳を越える晩年まで休みなく続いた巨大なパワーとエネルギーに驚嘆せざるをえません。
 しかも、この伊藤若沖が、生前には日本画壇の主流から離れて、あまり評価されなかったものが、没後に、外国から評価の声が上るという運命を辿ったことも、画壇や学界などのあり方を示唆しているように思われます。
 なお、「ミホ美術館」は、ある宗教団体が創立したものといわれていますが、こんな形での社会的貢献であれば、推奨されてよいといえそうです。
 多くのものが、コピーで済まされる時代のなかで、できれば「本物」を直接に鑑賞する機会を今後も得たいと思いました。
c0067324_1419865.jpg

[PR]
by nakayama_kenichi | 2009-09-04 09:57
 このブログでも、だいぶ前に、政権交代の場合を想定して、警察・検察での被疑者・被告人の取調べの際の録音・録画制度の実現可能性について指摘したことがありました。そして実際に、今回の選挙で「政権交代」が現実のものとなりましたので、この問題が浮上してくることは必定となってきました。
 この点に関して、選挙翌日の朝日新聞(2009年8月31日夕刊)は、「脱自民 中央官僚 覚悟と期待」と題する記事の中で、国交省などの省庁とともに、法務省もまた、制度改革を迫られているとして、以下のように指摘しているのが目を惹きました。
  「マニフェストに『取調べの録音・録画』を掲げた民主党による政権が確実となり、全過程の録音・録画(全面可視化)を迫られることになった法務省。幹部の間には『国民の意思なら、従うだけ』という冷静な声の一方で、捜査を担う検察には『真相が解明できなくなる』と反対論も根強い。『日本の刑事司法を大きく変える問題。現場の意見も聞いて、改めて慎重に判断してほしい』との声もある。ある幹部は『とにかく新しい大臣の考え次第だ。誰がなるか早く見極めたい』と話した」。
 この点に関しては、民主党がすでに参議院に「取調べ可視化法案」を提出していたという実績をもとに、いかに、そしてどこまで、保守的な法務官僚(および警察官僚)の抵抗を抑えることができるかが注目の的となります。そしてそれは、いわゆる「代用監獄」(被疑者の身柄拘束を「拘置所」ではなく、警察に付属する「留置場」で代用する制度)における、密室での長時間の取調べが冤罪の原因になっていることへの抜本的な改革につながることが期待されているのです。
 
[PR]
by nakayama_kenichi | 2009-09-01 20:23