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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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著書の改訂

 私は、現役時代に多くの著書を公刊しましたが、その多くは、いわゆる「古本」となって、歴史的な存在となり、専門分野の関係文献として引用される程度のものとなっています。ところが、まだ現在まで生き延びているものがあり、それらの著書については、出版後の変化を現在の状況に合わせるために、「改訂」作業を続けて行くことが必要となります。
 刑法の体系書は大学の講義のためのテキストとして、比較的寿命の長いものですが、そのなかでも、『口述刑法総論・各論』(新版、2003年、2004年、成文堂)は、不思議に今でもかなりの需要が続いていますので、補訂版(2005年)に続いて、補訂2版(2006年、2007年)まで発行しました。これらの改訂は、刑法の一部改正や重要判例の追加などを目的としたものですが、毎年今頃になると、来年4月に向けて、さらに補正が必要かどうか、検討しておかねばなりません。その作業が毎年12月の課題となります。
 そのほか、だいぶ古い『概説刑法 Ⅰ・Ⅱ』(1989年、1991年、成文堂)について、第2版を出した以降も、読者からさらに改訂の要望がありますので、これに答えるべく、その検討を来年の課題としました。体系書である『刑法総論・各論』(1982年、1984年、成文堂)についても、全面改訂の要望があるのですが、これにはもう対応しきれない状態です。
 一方、今年は、『医療事故の刑事判例』(中山=泉編、初版1983年、第2版1993年、成文堂)についても、新版(中山=甲斐編)としての全面改訂を予定していますので、この原稿も12月中に脱稿しなければなりません。今年も、年々加齢して行く中で、結構忙しい年度末になりそうです。明日から、その12月です。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-30 10:37

警察の裏金作りの告発

 最近入手しました青年法律家協会弁護士学者合同部会の機関誌「青年法律家」(453号、2008年11月25日)の中に、興味のある記事が出ていましたので、紹介しておきます。
 それは、「愛媛県警不当配転国賠事件」といわれるもので、現職警察官の巡査部長が、愛媛県警の裏金作りの実態を実名をあげて告発した直後に、拳銃取り上げや配置転換されたことは違法であるとして、愛媛県を相手に損害賠償を求めたという訴訟に関するものです。
 北海道警、静岡県警、福岡県警などの捜査費不正支出が次々と明るみに出た2004年に、愛媛県でも、元警察職員による県警の裏金作りの実態の暴露に続いて、現職の巡査部長が実名で告発に踏み切ったところ、拳銃を取り上げられ、通信室に配置転換されたことは見せしめの報復措置であるとして訴えたところ、県の人事委員会が配転処分を取り消し、さらに国賠訴訟でも松山地裁で全面勝訴、控訴審の高松高裁でも配転処分の違法性が認められ、県が上告を断念したため、慰謝料100万円の勝訴が確定しました(高松高裁2008年9月30日判決)。
 問題の根は深く、この警察官は、本来ならば巡査部長から昇任試験を受ければ警部補に昇任するはずのところ、裏金作り(領収書偽造)に協力しなかったために昇任することなく、巡査部長にとどめおかれ、本人もそれに満足しておられたというエピソードも語られています。内部告発者には、出世できないという不利益に甘んずる覚悟が必要だということになります。このことは、自衛隊や警察だけではなく、官庁や会社にも妥当し、上層部の不正は隠蔽されやすく、勇気のある内部告発者の出現が期待されるという状況がまだまだ続くことになるでしょう。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-26 20:17

司法制度改革審議会

 裁判員制度について、あらためてその導入の経緯を確かめるべく、1999年7月から2001年6月まで63回の会議を開いて、国民の司法参加を論じ、裁判員制度の道を開いた「司法制度改革審議会」での議論にさかのぼり、遅まきながら、その議事録の検討を始めています。
 まず、委員の人選の問題ですが、13人の内訳は、大學教員が5人、作家が1人、経済界から2人、労働界から1人、主婦連から1人、元裁判官が1人、元検察官が1人、弁護士が1人というものでした。この審議会委員は国会同意人事でしたので、野党から1部の委員に反対が出ましたが、与党の多数で決まるという波乱もあったのです。
 市民が参加する裁判制度の導入自体に反対したのは、作家の曽野綾子さん1人で、あとの委員は市民参加を肯定した上で、その形態として、「陪審制度」(市民が独立して有罪・無罪を決める)をとるか、「参審制度」(市民と裁判官がいっしょに審理し量刑も決める)をとるかで議論が分かれたのです。
 弁護士会が陪審制度を、そして最高裁が参審制度をとることははっきりしていましたが、結局は、陪審制度を支持した委員は少数にとどまり、多くの委員は陪審制度に消極的で、むしろ参審制度が望ましいという意見分布になりました。しかし、ここでは、労働界からの委員のほか、主婦連からの委員による陪審制導入論の方がはるかに詳細で説得的であり、さらに裁判官任用制度の改革にまで言及していたのが注目されます。
 ただし、この公開された議事録でさえ、肝心の討論の部分は「匿名」となっており、全面的な公開とはいえないことを指摘しておきます。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-25 22:23

死刑執行の一時停止

 死刑廃止に至らなくても、死刑の執行の一時停止という運動が、国際連合という世界的規模で行われていることが報じられていますので、以下に、読売新聞の記事を転載しておきます。
   死刑執行の一時停止、国連が再確認・・・日米中は今回も反対
[ニューヨーク=白川義和] 国連総会第3委員会(人権)は20日、死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求めた昨年の総会決議を再確認し、各国に履行状況の報告を求める決議案を、賛成105、反対48、棄権31で採択した。
 12月に国連総会本会議で改めて採択され、決議が成立する。死刑制度を維持する日米中などは、「国民感情に応じて、各国が判断すべきだ」とし、今年も反対票を投じた。
 死刑執行の一時停止を求める決議は、昨年初めて国連総会で採択され、今年の決議案も欧州連合(EU)を中心とする89カ国が共同提案した。総会決議に法的拘束力はないが、EU や国際人権団体は採択を毎年重ねることで死刑廃止を求める国際世論の高まりを示し、死刑存続国への圧力強化を目指している。
 国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、2007年に死刑を執行したのは24カ国で、1989年の100カ国から大幅に減少。国連加盟192カ国中、137カ国が死刑制度を廃止するか、事実上取りやめているという(2008年11月21日11時00分)。
 すでにお隣の韓国は10年間死刑を執行せずに死刑廃止国の仲間入りをし、アメリカでも、存置州と廃止州に分れ、全体として執行数は減少しつつあります。日本でも平安時代に300年間も死刑執行が停止されていたことがあります。一歩前進が求められているのです。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-22 09:36

ヘンゼルとグレーテル

 前週末は、いつもの仕事から少し離れて、文化的な催しに連続して接する機会がありました。14日には、大阪の国立文楽劇場で人形浄瑠璃を鑑賞しましたが、これは石川弁護士のお世話で、年に4回、人形に命を吹き込む名人達の芸と技、そして生粋の人情話の魅力に引き込まれる機会を与えられているものです。イヤホーンの解説が丁寧で門外漢にも理解可能なようにできているのも助かります。ただ、大阪を発祥地とするこの伝統技が若い年代の観客層にまで広がっていくものかどうかという問題がありそうに思われます。
 翌15日の刑事訴訟法研究会(大阪)をはさんで、16日には、大津の市民会館で、大津管弦楽団の第114回の定期演奏会があり、これにも若い教え子達と一緒に出かけて、クラシック音楽を楽しむ機会がありました。市民会館の大ホールは満員で、盛況でした。
 その第1の曲目が、歌劇「ヘンゼルとグレーテル」で、序曲ほか10曲のテーマが抜粋して演奏されました。原作はグリム童話で、作曲者の妹が台本を書いたオペラだといわれています。私にとっては、はじめて見聞する珍しさがありました。
 交響楽団の音楽のリズムにのりながら、可愛いヘンゼルとグレーテルの若い姉妹が突然舞台の正面に現れ、楽器に負けないくらいの音声を発しながら歌と踊りを展開し始めました。お父さんに次いでお母さんも舞台に現れますが、森の中で眠るヘンゼルとグレーテルが魔女の呪文にかかって動けなくなる危機を脱して、家族全員で喜びの歌を歌い上げるというものです。
 第2曲の、ビゼー作曲の「アルルの女」の第2組曲の演奏の中では、とくに若い女性奏者の横笛が見事で、印象に残りました。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-18 09:56

校正ミスのお詫び

 私は、最近、「佐伯博士の刑法思想と『日本法理』」と題する論文を、「判例時報」という法律雑誌に3回に分けて連載し、その(上)と(中)はすでに刊行されました(2013号、2015号)。(下)も引き続き出る予定です(2016号)。
 しかし、すでに(上)が出た段階で、読者から校正ミスがあることを指摘されており、(中)では、自分で読んでも気になる箇所がいくつもあることに気がつき、折角刊行されたのに、読者に誤解と不愉快な気分を味あわせることになるのではないかと、いささか憂鬱な気分になっているところです。そこで、せめて、(下)の最後のところで、校正ミスや不正確な叙述についてお詫びの言葉を入れたいと出版社に連絡をとりましたが、すでに校了となっていて、それもかなわないことになりましたので、このブログを借りて、お詫びの言葉を申し上げたいと思います。
 著者としては、どんなに努力し注意をしても、校正ミスを全く避けることはできないものですが、今回は少し事情が違うようで、明らかに不注意があったとしか見られないことを深く反省している次第です。
 最初は、10回分くらいに分けていた原稿を、掲載直前に3回にまとめるという段階になって、内容の再検討と形式や言葉遣いの丁寧な校正の機会を失したまま、刊行に至ったところに、行き違いを含むミスがあったのではないかと思います。
 今後、このようなことがないように深く反省し、いずれかの機会に全体をまとめるようなチャンスがあれば、正確な記述に訂正したいと考えていますので、今回の思わぬ失態に対しては、取り急ぎ読者の皆さんに深くお詫びする次第です。
 
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by nakayama_kenichi | 2008-11-13 09:27

裁判員は行司なのか

 日弁連の宮崎誠会長は、京大法学部42年の卒業生で、最近の京大学生新聞(614号、2008年10月20日)から取材を受け、今回の裁判員制度は刑事裁判に市民感覚を生かすものなので、これを円滑に定着させていくことが重要だとされています。この記事を読んで気になったのは、次の2点です。
○ 第1は、今回の改革のきっかけになったのは、これまでの司法界が多くの欠点を抱えており、その欠陥がだんだん増幅されてきたことにあるとし、冤罪事件や強引な取調べに対する批判が今回の裁判員制度の最大の要因であるとされている点です。警察や検察庁、そして最高裁も裁判員制度の導入を嫌がりましたが、決め手はいつまでも欠点が是正されないことにあり、今回の改革が弁護士の運動の積み重ねの結果だといわれるのです。しかし、実際には、司法制度改革審議会の意見書には、司法の民主化や冤罪防止の目的はほとんど触れられず、冤罪を生み出す捜査の改革はほとんど手づかずのままです。この改革が弁護士会のイ二にシャチブで動いたとはとても思われず、むしろ内部から批判が出ているのが現状なのです。
○ 第2は、検察官と弁護人がお相撲をとりますから、検察官の立証で疑いなく有罪かどうか、そこをみて行司に徹してほしいといわれている点です。しかし、「行司」役であれば、検察官と弁護人の言い分のどちらに軍配を上げるのかが裁判員の役目だと理解されることになるでしょう。これは、きわめて危ない表現で、むしろ検察官の側の立証に「合理的な疑い」が残らない、つまり常識に照らして間違いがないと言い切れる場合のみ有罪とする趣旨であることを指摘してほしかったと思います。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-12 21:10

友人の傘寿の会

 11月8日(土)の夕方6時半から、京都四条大橋角のレストラン菊水の3階で、親しい友人である立命館大學名誉教授の井戸田侃さんの傘寿を祝う会が開かれ、多くの友人・知人が集まり、大変な盛会でした(参加者は79名で、80にわずかに及ばず)。北海道や東京や九州から見えた方もあります。
 ブログを見ますと、昨年の11月3日に私も傘寿の会を開いてもらっていますので、1年違いということになりますが、昭和初期に生まれた同世代で、同じ刑事法研究の分野で、ほぼ半世紀にも及ぶ長い期間、互いに協力し合ってきた仲間の一人です。
 参加者は、学者、弁護士のほか、立命館大学関係の人達が多く、その中から、それぞれユニークな祝辞が多数寄せられました。私も祝辞を述べる機会を与えられましたが、昨年の傘寿の会の折に味わった気持ちから、わがことのように嬉しいと申しました。私どもは、ほとんど同時に大學を出て、研究室に残り、私は京大に、彼は立命館大に就職しましたが、彼は佐伯先生の影響もあって、早くから弁護士の実務にも携わり、それが理論と実務を架橋するという彼の刑事訴訟法論の特色を形成することになりました。
 井戸田さんは、80歳になっても、研究と実務を続けたいといわれ、参加者の拍手を浴びましたが、私も全く同感で拍手を送りました。ただし、長老の弁護士からは、80歳を超えると無理はしないようにとの親切な忠告もあり、この発言にも全く同感で、無理をしないように、しかし休まないようにしたいという心がけを再確認しました。今後も互いに研鑽しあって、関西の自由な伝統を若い世代の方々に引き継いで行きたいと思います。
 
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by nakayama_kenichi | 2008-11-09 11:39

自衛隊空幕長の本音

 最近、航空自衛隊の空幕長が民間の雑誌に、過去の戦争を全面的に肯定する趣旨の論文を書いて受賞していたことが発覚して、大きな問題になっています。その要旨は、以下のようなものです(朝日新聞11月1日)。
 「日本は朝鮮半島や中国大陸に一方的に軍を進めたことはない。わが国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者である。日本政府と日本軍の努力で満州や朝鮮の現地の人々は圧政から解放され、生活水準も格段に向上した。日本はルーズベルトの仕掛けたわなにはまり真珠湾攻撃を決行した。大東亜戦争後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放された。東京裁判は戦争責任をすべて日本に押し付けようとした。そのマインドコントロールが今なお日本人を惑わせている。自衛隊は集団的自衛権も行使できない。武器の使用も制約が多い。攻撃的兵器の保有も禁止されている。がんじがらめで身動きができない。このマインドコントロールから解放されない限り、わが国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。わが国が侵略国家だったなどというのはぬれぎぬである」。
 朝日新聞の社説「ぞっとする自衛官の暴走」(11月2日)は、こんなゆがんだ考えの持ち主が、こともあろうに自衛隊組織のトップにいたとは。驚き、あきれ、そして心胆が寒くなると報じました。しかし、もっと問題なのは、麻生首相も浜田防衛相もこの発言を「不適切」とするのみで、本人を懲戒処分にせず(防衛相は減給)、定年退職にして退職金も支給するという事後処理の決定的な甘さにあります。むしろ、政府や防衛省の方が困るような「本音」が出てしまったので、早く収束したいのでしょうが、事態は余りにも重大です。
 
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by nakayama_kenichi | 2008-11-06 21:13

連休の音楽鑑賞

 私自身は、これまでは、家で仕事をしながらクラシック音楽を聴くという程度でしたが、今年の連休の11月3日には、このマンションのお友達と4人で、大津市民会館で開かれた「大津市合唱連携設立40周年記念の合唱のつどいと記念演奏会」を聴きに行ってきました。
 大津市民会館の大ホールには最初は聴衆が少なかったのですが、次第に参加者が増えてきました。その理由は後で分ったのですが、実はこの会は、大津市合唱連盟に加入する23の地域の合唱団が集まって、順次に2-3曲くらいづつを歌いながら交替して行くというユニークな形式のもので、それぞれの合唱団の応援団が次第に集まってくるというものだったのです。
 私どもは、第6番目に出演した「仰木の里女性コーラス」がお目当てでしたが、それは、この女性合唱団がボランテイアとして、今年の9月19日に、私どもの高齢者用マンションを訪問し、自らいくつかの合唱曲を披露するとともに、入居者もともになつかしい日本の民謡をともに歌ったという貴重な経験があったからです。
 当日は、この前来て頂いた小松千加子さんの指揮で、「この広い野原いっぱい」「初恋」「琵琶湖」という3曲が披露されましたが、あのときも参加されていた91歳の女性歌手の姿もはっきりと確認することができました。 私どもは、残念ながら途中で退席しましたが、大変楽しい気分で、できれば来年も聴きにきたいものだと思いながら帰途につきました。
  なお、この合唱団は、年末のクリスマスコンサートにもこのマンションに来て下さることになっており、その準備のために、小松千加子さんご自身がクリスマスの歌の指導までして下さることになっています。
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by nakayama_kenichi | 2008-11-04 09:56