最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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2010年 11月 01日 ( 1 )

検察官の身分保障

 今回の大阪地検特捜部の不祥事は、捜査主任による証拠の改ざんの容疑に加えて、2人の上司(前部長と副部長)による犯人隠避の容疑にまで及び、この事件の捜査主体となった最高検は、すでに3人を起訴しました。捜査主任は容疑を認めているようですか、2人の上司は一貫して容疑を否認した状態のまま、裁判所での審理に委ねられることになります。結果は、まだ未確定なので、一般の刑事事件と同様に、「無罪推定の原則」が働くはずです。
 ところが、最高検の意向を受けた法務省は、いち早く、捜査主任だけでなく、2人の上司も懲戒免職処分にしました。しかし、それは検察官の身分保障との関係で問題はないのかということが、このブログにコメントを寄せられた方から問題提起がありました。
 そこで調べて見ますと、検察官の身分保障については、検査庁法の中に、「適格審査会と罷免」(23条)の規定があり、「検察官が心身の故障、職務上の非能率その他の事由に因りその職務を執るに適しないときは、・・・検事及び副検事については、検察官適格審査会の議決を経て、その官を免ずることができる」と定められています。
 ところが、この「検察官適格審査会」(法務省所管)は、ほとんど活動をしていないのが実情といわれる中で(朝日新聞22年10月18日夕刊)、今回のケースが正式にこの適格審査会の議決を経たとの報道もなく、もしこれが省略されたのであれば、少なくとも、今回の最高検と法務省の処分は、手続上の重大な瑕疵を含んでいるといわざるを得ません。
 また、一般の公務員の場合には、刑事事件に関して起訴されたときは「休職」処分にとどまることと比べても(国家公務員法79条2号)、バランスを失するように思われます。
 なお、本件の上司2人の弁護人は、懲戒免職処分の取消しを人事院に求めるとのことです。
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by nakayama_kenichi | 2010-11-01 12:56