最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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2007年 08月 08日 ( 1 )

杉野文庫について

 8月のはじめ、私の郷里(滋賀県伊香郡余呉町)に墓参りに帰った際に、小中学時代の旧友である桐畑長雄氏との面談から、当時の余呉小学校内に「杉野文庫」という名の図書室があったこを思い出しました。そして、実はこの図書は、杉野文彌(1864-1933)という人が郷里に創設した図書館の蔵書の一部であり、現在は、木之本にある「江北図書館」に所蔵されていると聞きました。
 桐畑氏によると、杉野文彌は苦学して東京法学院(今の中央大学)を卒業し、弁護士となって活躍するなかで、郷里のために図書館を設立するという志を立ててこれを実行し、私財を投じて「江北図書館」に6916冊の図書を寄贈したというのです。
 しかも、注目されるのは、そのなかに、、明治22年イギリスで刊行され、初めて日本に輸入された「ブリタニカ」第9版24巻の辞典が明治35年に購入保存されているという事実で、このことは地方の図書館としては極めて珍しいといわれているのです。このブリタニカ第9版24巻セットは、当時280円、1125人が「丸善」に予約し、それは坪内逍遥、高山樗牛、山路愛山らが愛し、尾崎紅葉は死の直前に注文したが間に合わなかったということも伝えられています。杉野文彌氏自身が書いた「余が図書館設立の由来」という文書も残っています(読書の友、大正元年8月発行、読売新聞社)。 
 桐畑氏と面談した際には、現在江北図書館の評議員をしている東野更正氏(私の小学校時代の恩師東野こずえ先生のご子息)も同席されていましたので、近い将来、江北図書館を訪問して、蔵書を拝見し、杉野文彌氏の功績を再確認したいと思っています。
 ただし、はるか昔の余呉小学校の「杉野少年図書文庫」で勉強したころの私の記憶は、残念ながらそれほど定かではありません。
 
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by nakayama_kenichi | 2007-08-08 10:41