裁判員制度の危うさ
2008年 08月 17日
しかし、それにもかかわらず、弁護士会の内部には反対論や延期論が台頭しているほか、最近では、社民党が実施の延期を含む見直しを求め、共産党にも実施の延期に同調する動きがあり、とうとう民主党の小沢代表も政権をとったら裁判員制度を見直す意向を固めたといわれるなど、政界レベルでも、1年後の施行にとって雲行きが怪しくなってきた感があります。
この制度の導入にとって最大の問題は、裁判員制度を担うべき国民の間に依然として賛成論が少ないことであり、国民はもっと卑近な国民生活の先行きに、より大きな関心を示しているという切実な状況があるからでしょう。
この問題については、元検察官の河上和雄氏ですらも、「裁判員制度は今からでも廃止できる」と公言しています(雑誌WEDGE,2008年8月号104頁以下)。そこでは、「”天下の悪法“裁判員制度が来年5月21日に施行される。一般市民が裁判に参加することの違憲性や、殺人等の重大事件だけになぜ裁判員が参加するのかなど、多くの問題点が議論されないまま強行されようとしている。世論調査でもこの制度は支持されていないのは明らかだ。今、政治家・国民が声を上げればこの制度は廃止に追い込める」と明言されています。状況はなお予断を許しませんが、私自身もこの問題に関する限り、同じ意見です。