仙崖荘の名の由来
2008年 07月 27日
そして、この7月13日には「乾長昭翁の生涯」という講演も無事に済ませたのですが、その夜、例の91歳の赤崎翁から、「仙崖荘」の名の由来について、それは、「仙涯和尚」(仙涯義梵 1750-1837年)からきているのではないかと聞きましたので、少し、仙涯和尚について調べてみました。参考文献として、堀和久著『死にとうない―仙涯和尚伝』(新潮文庫、平成8年)を読みましたが、そこには筑前博多の名刹である聖福寺の住職になって、庶民とともに生きた仙涯和尚の実に波乱に富む生涯がいきいきと描かれていて、洒脱なユーモアの影に秘められたきびしい修行の長い道程に感動しました。
たしかに、悟りを開くための厳しい自己練磨と、弟子達への暖かい思いやりという点では共通するものが見られますが、しかし、結論としては、乾長昭翁の生涯とはかなり違うところもありますので、「仙崖荘」の名の由来を直ちに仙涯和尚に求めることには躊躇を感じました。これは、乾長昭翁自身も語られなかった「秘密」で、むしろ仙人の住む崖の上に立つ寓居という一般的な意味ではなかったかというのが私の感想です。
なお、仙涯和尚の本の中では、「おごるなよ 月の丸さも、ただ一夜」とたしなめられた句が心に残りました。