最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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天は自ら助くる者を助く

 さらに、上掲書によりますと、湯川博士は「日本国憲法と世界平和」(『世界』1965年6月号)と題する論稿の中で、ラッセル・アインシュタイン宣言(1955年)が公表される数ヶ月前に、その趣旨に全面的に同感すると同時に、それよりもすでに数年前につくられた日本国憲法を想起しつつ、軍備競争を現実的と判断したり、全面完全軍縮をまったく非現実的だとするのは、救いのない悲観論や宿命観以外にものではないとして、以下のように明言されていました。
 「私がここで『天は自ら助くる者を助く』という古い言葉を引用したら、皆さんに笑われるかもしれない。しかし、人類は今まさに、自ら助けるか、あるいはいわゆる現実的判断なるものに従って運命の手に自己をゆだねてしまうかの分かれ道に立っているのである。もしも自らを助ける道を選ぼうとするならば、(憲法前文にあるように)諸国民は平和を愛し、互いに公正と信義を信頼して安全と生存を保持しようと決意し、この信頼と決意の上に立って恒久平和への道を歩みだすほかはないのである。そしてまた、憲法9条が非現実的であるどころか、今日すでに、そして将来はなおさら、日本国民が自らを助けるためにとるべき唯一の現実的態度であることが、いよいよ明白になってきたのである。・・・・この18年間、私たち日本人がこの憲法に従って来たことの意義は、決して小さくなかった。それどころか、このことを、人類の自らを助けようとする決意と努力をうながし強化するのに役立たせることができたならば、日本人が、そして日本国民が人類の歴史のなかで大きな役割を果したことになるであろう」。
 著者もいわれるように、40年前の湯川博士の真情が、今日のわれわれにストレートに伝わってくることを強く感じます。
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by nakayama_kenichi | 2008-07-23 09:56