9条違憲判決
2008年 05月 01日
この点で、想起されるのは、1973年(昭和48年)9月7日に、札幌地裁の福島裁判官が下した長沼ナイキ基地訴訟に関する自衛隊違憲判決ですが、5月1日の朝日新聞に、この福島重雄氏が「司法は堂々と憲法判断を」という文章を寄稿されています。国民が関心をもたなければ、裁判官も消極的な「統治行為論」に逃げ込みやすくなってしまうといわれるのです。
かつての長沼判決には、以下のような格調高い判旨が含まれていました。
「憲法前文は徹底した平和主義の立場をとり、万が一にも、世界の国々のうち、平和を愛することのない国家が存在し、わが国が、その侵略の危険にさらされるといった事態が生じたときも、わが国みずからが軍備を保持して、武力をもって相戦うことを容認するような思想は、まったく見出すことはできない。・・・・憲法は戦力の保持を禁止したが自衛権までも放棄していない。ただ戦力不保持の結果として、自衛権行使の方法は非軍事的な方法に限定される。・・・・現在の自衛隊は、その編成、規模、装備、能力および対米軍との関係からすれば、明らかに外敵に対する実力的な戦闘行動を目的とする人的、物的手段としての組織体と認められるので、軍隊であり、そのゆえに陸、海、空各自衛隊は、憲法第9条2項によって禁ぜられている『陸海空軍』という戦力に該当する」。
今こそこの違憲判決の意義を想起しなければなりません。因みに、福島氏は私と同期の瀧川ゼミ生の一人でした。