冤罪と取調べの可視化
2008年 03月 06日
これらの冤罪事件に共通するのは、警察段階における取調べ段階で、「私はやっていない」とする被疑者に犯行を「自白」させる捜査手法であり、かつてから言われてきた「長時間の密室での取調べ」の弊害と実態がいよいよ明るみに出てきた感じがします。
それは、警察・検察での取り調べの過程を「可視化」、つまり外部から分かるようにすることで防げるわけで、そのために、すでに諸外国では弁護人が立ち会ったり、捜査過程をビデオで録音・録画することが国際水準として確立しているのです。
それは、西欧諸国のことで、わが国では事情が違うという言い逃れも行われてきたのですが、最近の情報では、西洋のみならず、お隣の韓国や台湾でも、映像録画制度の導入や弁護人の立会権まで認める方向に制度改正が進んできているのです。
もちろん、わが国の法務省や検察・警察の幹部がそのような国際的な情報を知らないわけではないのに、この点は黙して語らず、わが国ではまだ従来の制度が、犯人の摘発と治安維持のために必要であるという態度を固執しています。
その上に、「警察捜査における取調べの適正化に関する有識者懇談会」(議長=平良木登規男・慶応大学名誉教授)も、捜査過程の全面的な可視化には慎重な姿勢であるといわれています。国際的な孤立化の中で、冤罪が絶えないという悲しむべき現状を早急に何とかしなければなりません。