最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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法科大学院の改革提言

 2007年4月号の「法学セミナー」誌の中で、宮沢節生・大宮法科大学院教授らが、「入学定員の一律3割削減と3,000人合格の同時かつ迅速な実施を」と題して、シュミレーションによる緊急提言をなされているのが目にとまりました。それは、現状をこのまま放置すると、例えば約7-8割の者が新司法試験に合格できるよう充実した教育を行うことが可能であると想定されていた「プロセス」としての法科大学院の理念が崩壊し、大量の新司法試験不合格者が発生することによって社会問題が発生するという危機感に裏づけらたもので、それ自体としては、きわめて説得的なインパクトを含んでいるように思われるのです。
 例えば、2006年度の新司法試験の合格率は50%を割っており、2007年度には30%台まで下がることがほぼ確実に予見できるというのですから、これは、法科大学院の院生のみならず、教員や大学にとっても、きわめて憂慮すべき事態であることは明白な事実です。
 ところが、現場の教授陣に聞いてみても、このような提案、とくに法科大学院の定員の削減という点については、その現状を抜本的に変えることは、すでにきわめて困難な状況にあるといわれるのです。しかも、このままでは、展望がないことがわかりつつ、自然淘汰に待つというのも無責任だという白けた状況の中で、各法科大学院ごとに合格率を競い合うというジレンマが続くことは悲劇的であるとさえ思われます。
 一方では、法科大学院は出たが新司法試験に受からなかった大量の不合格者の新たな就職先を開拓するという方策も考えられますが、その具体的な解決策も容易でないところに、この問題の深刻さが現れているといえるでしょう。
 しかし、少なくとも、大きな法科大学院がその定員を漸次削減するという方向をとらない限り、かつて少数の有力な大学が司法試験の合格者の大部分を占めていたという状況に帰ってしまうのではないかというおそれがあります。
 
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by nakayama_kenichi | 2007-03-25 11:47