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最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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文科省主導の「やらせ質問」

 教育基本法の改正問題が浮上する中で、03年から今年にかけて8回開かれた、政府主催の教育改革タウンミーティング(TM)のうち、5回も「やらせ質問」があったことが判明した問題で、教育基本法の所轄官庁である文部科学省があらかじめ質問案を作成するなど、積極的に関与していたことが明確になったと報じられました(朝日11月10日)。内閣府によると、教育改革TMはすべて、文部科学省から内閣府へ出向していた3人が交代で担当し、文科省と運営全般について相談したといわれることから、主犯は文科省、実行犯は内閣府だとも批判されています。
 これは『民意をなめるな』(朝日社説)といわれるほどの重要な問題であるにもかかわらず、政府当局には結果として行き過ぎがあったという程度の認識しかなく、有識者を加えたチームで調査することでお茶を濁そうとしているようです。
 このような問題とその経過が象徴していますのは、国が管理する情報について国民がアクセスすることが決して容易ではない反面、国は国民の側の情報を「誘導」してでも獲得し、これを「世論」として利用できるというシステムと運用がまかり通っているという恐るべき現状です。しかも、「やらせ質問」というきたない裏手口が、何年にもわたって続けられたあげくに、ようやくその一端が判明したという有様です。
 マスコミの批判的な対応に期待したいのですが、そのマスコミに対しても「政府命令」が出る仕組みが始まっていることにも注意と警戒が必要です。お上が税金を使って行う人集めの行事には、最初から警戒が必要で、当局の方針を聞いて了承するという落ちがついているような場では、積極的な意見は期待できないので、「やらせ質問」が用意されるということになるおそれがあります。また、国に任用された有識者が国にきびしい注文をつけることを期待することも困難でしょう。
 国が真剣に「世論」を聞くというのであれば、市民の自主的な集会に参加して「質問」を受けるという方法をとるべきではないかと思われます。
 
 
by nakayama_kenichi | 2006-11-15 11:16