文科省主導の「やらせ質問」
2006年 11月 15日
これは『民意をなめるな』(朝日社説)といわれるほどの重要な問題であるにもかかわらず、政府当局には結果として行き過ぎがあったという程度の認識しかなく、有識者を加えたチームで調査することでお茶を濁そうとしているようです。
このような問題とその経過が象徴していますのは、国が管理する情報について国民がアクセスすることが決して容易ではない反面、国は国民の側の情報を「誘導」してでも獲得し、これを「世論」として利用できるというシステムと運用がまかり通っているという恐るべき現状です。しかも、「やらせ質問」というきたない裏手口が、何年にもわたって続けられたあげくに、ようやくその一端が判明したという有様です。
マスコミの批判的な対応に期待したいのですが、そのマスコミに対しても「政府命令」が出る仕組みが始まっていることにも注意と警戒が必要です。お上が税金を使って行う人集めの行事には、最初から警戒が必要で、当局の方針を聞いて了承するという落ちがついているような場では、積極的な意見は期待できないので、「やらせ質問」が用意されるということになるおそれがあります。また、国に任用された有識者が国にきびしい注文をつけることを期待することも困難でしょう。
国が真剣に「世論」を聞くというのであれば、市民の自主的な集会に参加して「質問」を受けるという方法をとるべきではないかと思われます。