病気腎臓の移植
2006年 11月 10日
これらは、いずれも愛媛県宇和島市徳洲会病院の泌尿器科部長・万波誠医師による移植手術にかかわるもので、特別な状況下でのきわめて異例の出来事として一般に受け止められています。しかし、その背景に移植用臓器の決定的な不足があり、移植を受ける患者(レシピエント)の側には広い「同意」が推定されますので、事態が簡単に改善されるとは思われません。現に、移植医の中にも、万波医師を「赤ひげ」と評価する人もあり、「患者の会」も支援の方向にあると伝えられています(朝日11月9日夕刊、同10日朝刊)。
私はまず、このようなケースがどのような契機から表面化したのかという点を問う必要があると考えます。臓器売買事件では、ドナーが謝礼金が少ないといって訴えたというのが発覚の契機になったといわれていますので、もし交渉がスムーズにいっていれば、発覚することなく済んでいた可能性があります。それは「たまたま」発覚したものですから、ほかにもあるかも知れないのです。一方、病気腎臓の移植は、その病院の調査から判明したもので、これは先の売買事件と関連して出てきたものです。
問題の根源は、生体腎移植の対象が親族外に広げられたところにあります。したがって、そのことをしっかり認識した上で、移植学会などによる徹底的な調査を期待したいと思います。そしてその際には、ドナー側の「同意」の有無と状況が、内部告発をも含めて十分に考慮されることを願っています。