最近大学を離れ、論考を公表する機会が少なくなってきました。論文として公表する以外の資料や感想文などを公開する場を持ちたいと考え、このブログを開設しました。


by nakayama_kenichi
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佐伯千仭先生宅を訪問

 2月2日の午後、待望していました佐伯千仭先生宅への訪問の願いが叶いました。友人の井戸田侃さん(立命館名誉教授)とご一緒に、京都下鴨の閑静なお宅に伺ったときは、98歳という先生のお年のことが頭をよぎり、一瞬緊張しました。しかしその心配も、先生のいつものお声と笑顔を拝見するや、直ちに消え去り、時の流れが一挙に逆流するのを覚えました。先生は、いつもとお変わりなく、椅子から立ち上がって迎えて下さったのです。
 佐伯先生は、1907年12月のお生まれで、すでに98歳を越えておられるのですが、どうしてもそうは思われません。視力も聴力も十分で、普通の会話が可能なのです。お元気だとは聞いていましたが、これはもう本当に驚嘆するというよりほかはありません。
 私どもは、何よりも先生のお体のことが気がかりでしたが、先生は平気で応対され、さすがに最近は運動をしなくなったけれども、夏はプールで泳ぎたいくらいで、辺りが心配するので遠慮していると漏らされる有様でした。
 その上に、話が学問の世界に及んでも、先生の記憶力は抜群で、昔の先生方との交流の様子を、鋭い寸評を交えながら、すらすらとお話になりました。とくに印象的だったのは、先生が京大の助手から助教授に昇進された際に、当時の恩師であった宮本英脩教授の主観的違法論を批判して客観的違法論を展開したにもかかわらず、それでもなお先生を助教授に推薦された宮本先生の度量の大きさに感謝しているといわれたことです。私はそこに、佐伯先生の学問に対する厳しさと人間的な寛容さの淵源を見る思いがしました。
 結局、2時半頃から4時半頃まで、2時間ほども先生のまだまだ尽きぬエネルギーを享受するという貴重な恩恵に浴しました。先生のご健勝を心から祈念しつつ、井戸田さんと下鴨神社の辺りまで歩いて、別れました。そして、昔から、佐伯先生とお会いすると、勉強しなければと反省したことを思い出していました。
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by nakayama_kenichi | 2006-02-03 21:16