公務員の政治活動とその「外観」
2006年 01月 06日
ところで、今問題になっている「堀越事件」では、社会保険庁の職員が職場の組織とは関係なく、勤務時間外の休日に自宅近くのマンションの郵便受けに政党機関誌を投函したという事案が問題になっており、そこでは「公務員の政治活動であることが分からないような形で行為した」という特色が見られる。配布の相手方にも辺りの人にも「公務員の政治活動」と分からない「外観」をもった行為に果たして「公務員の政治的中立性に対する国民の信頼」を害する危険があるのかという点が問われているといえよう。
因みに、最高裁は、警察官が電話を盗聴した事件で、警察官が「終始何人に対しても警察官による行為でないことを装う行動をとっていた」ことを理由として、公務員の職権濫用罪には当たらないとしていたことを想起すべきである(最決平元・3・14)。
なお、この問題については、別に論文を書くつもりである。